ユーコン川は米国とカナダにまたがる全3,700kmにもおよび、
大自然アラスカの中でも最後の秘境と呼ばれています。
アラスカの5種類の天然サーモンのうち、このユーコン川で獲れるサーモンが「ユーコンサーモン」です。ユーコン川では主に、キングサーモン(ユーコンキング)、チャムサーモン(ユーコンチャム)の2種類のサーモンが漁獲されています。

ブレイクアイス/流氷  〜 ユーコン川の四季〜


ユーコン川流域の夏は短い。
しかも春もあまりにも短いため、冬から突然に夏となるという印象で、
そしてまた、秋もきわめて短く、突然に長い冬が来てすべてが雪に閉ざされてしまうという感じだ。

5月のある日、
ユーコン川全域を覆っていた氷がバリバリと音をたてて割れ始め、
川の水流の巨大な力でわずか2週間程度で
その氷をベーリング海へと流し去る。
そのブレイクアイス・流氷が突然の春の訪れを告げるサインだ。

さあ、短い春の声を聞いてから2週間もすれば短い夏の到来だ。
それは、あの巨大な“ユーコンキング”の遡上がはじまる夏だ。

6月の第1週には、“ユーコンキング”のサーモン漁が始まる。
まず、ユーピックエスキモー部族の生活関連漁獲からスタートし、
同月下旬にはその年のサーモンの来遊量次第だが、
十分な数が戻ってくるならば、商業漁獲が約2週間続く。
そしてその後、8月下旬から9月の第1週頃までの間、
“ユーコンチャム”漁が行われて、
夏のサーモン漁は完全に終わりを告げるわけだ。

この短い夏は、ユーピックエスキモーにとって非常に忙しい夏であり、
9月には、彼等が美味としている、巨大ムースの狩猟がシーズンを迎える結果、
男はムース猟、女は野生のブラックべリー狩りで大忙しとなる。

9月下旬にはもう、束の間の忙しい秋から冬の到来を告げる雪が降り始め、
雪は野山に始まり、さらにユーコン川全域に降り積もり、
ついにこの大河も氷に閉ざされてしまう。
そして、ユーコン川流域では、人も野生動物も活動を潜めて冬ごもりとなり、
再び来春のブレイクアイス・流氷まで、
夏に蓄えた自然の恵みを食みつつ、長い厳しい冬をじっと待つことになる。